2009年10月14日

劇的3時間SHOW 田口浩司氏

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 現在、都内で開催中のコ・フェスタ2009の
イベントである。
「劇的3時間SHOW」の第2回 田口浩司氏の講演を
先週、聴講してきました。

田口氏は、スクウェアエニックスの出版部門の責任者を
なさっている方ということで、
出版からみたアニメという視点でのお話をして下さいました。

田口浩司氏の経歴紹介を劇的3時間SHOWからみてみると、
1988年株式会社エニックス(現:スクウェア・エニックス)入社。
営業部・ソフトウェア事業部・マーチャンダイジング部の役員を歴任。
現在は出版事業部・音楽出版事業部・宣伝部を担当。
2003年「鋼の錬金術師」のアニメ化をプロデュース。
以後、スクウェア・エニックスのコミックスからアニメ作品数々輩出。
いった感じになっています。

もともと、エニックスでは、ゲームを担当されていたということで、
まずは、ゲームの昔と今の違いについて、
映像を交えて紹介して下さいました。
20年前のファミコン版ドラクエIIIの映像と
先頃、発売された、DS版ドラクエIXの映像。
17年前のファミコン版ファイナルファンタジーIIIの映像と
2006年にリメイクされたDS版のファイナルファンタジーIIIの映像。
そして、今度発売となるファイナルファンタジーXIIIの映像。
ゲームの演出上でのアニメの活用が、
いかに進歩して表現力を増してきたのかを、
感じさせて下さいました。
アニメコンテンツの位置づけについて、

 テレビアニメ・アニメ映画
      +
 テレビゲーム
 実写映像の一部、実写TVドラマの一部

上記の全体をコントロールできるようなプロデューサーが
求められているのではないかとの所見には、同感でした。
プロデューサーの不足は、コンテンツ業界としても課題のひとつであり
アニメ業界でも、指摘されている部分であったりします。
さて、田口氏は、出版を担当しているということから、
出版側からみたアニメについて、またプロデューサーについて
語って下さいました。

 プロデューサーとは、
   1.創りたいものを創る。
   2.だけど儲ける。
 ということの出来る人ということでしたが、
確かにその通りではあるなとおもいました。
出版側のプロデューサーとしては、アニメは簡単であるとのこと。
実際のところ、これまでのアニメ参加で、失敗はないという
ことでした。それは見込みがかなり的確に出来るからということです。
出版社がアニメに参加する場合、
スクエアとして、客のある分野を考えると、以下の4つになり、
それぞれについて、どのように客をつり上げるのかがポイントと
いうことになるとのことでした。

 1.萌え   →「咲-SAKI-」
 2.腐女子  →「黒執事」
 3.シュール?ギャグ →「サンレッド」
 4.王道少年漫画  →「鋼の錬金術師」

各分野の作品として、上記の作品をあげてくださいました。
なるほどなとおもったしだいです。

「咲」については、「バンプーブレード」の成功を踏まえての
セレクションであったようです。
どちらも、学校の部活動ものに、萌えキャラを加えた
作品ということですね。スポコンの要素(古くは、アタックNo.1)に
萌えキャラと萌え関係性を追加した作品ともいえるでしょう。
他社さんの作品も、同傾向のものありますしね。
「黒執事」については、田口氏にはわからないとのことでした。
社内の女性からは、「黒執事はエレガントです」といわれたとのこと
田口氏にとっては、何のことだかという感じであったそうですが
それを聞いて、確かにと納得してしまえる私はいったい・・・。
まあ、フランスのイベントでは、今年は、ゴスロリファッションが
花盛りであったそうです。フランスはちょっと面白い国ですからね。

さて、アニメの製作に係わる関係者として、田口氏があげられたのが

 1.原作者
 2.出版社
 3.DVD販社
 4.TV局
 5.広告代理店

ということで、会場内に、これに不足しているものはと
問いかけられました。もちろん解答は、

 6.スタジオ(制作会社)

ということです。
さて、出版社の立場でみた場合、アニメ製作にあたり
どのくらい出資(投資)し、どのくらいの収益を得れば成功と
いえるのかについて、事例を交えて説明して下さいました。

提供料として、5億円/年を投資する
回収は、原作印税(本編,MD)+原作販売で行う。
出版社としては、原作販売で回収し利益を出せることが
ビジネスとしての目的となっているということです。
1冊420円のコミックであれば、150円が出版利益だとして、
5億円の投資をリクープするためには、約330万部を
増販出来れば良いということになります。
実際に、ハガレンでは、それをクリアできたとのことでした。
現在、放送中のハガレンも、クリアできそうだとのことです。
さて、提供料の5億円とは、
夕方枠の放送での提供料ということです。
もちろん、5億円も回収できそうもない作品を
そこの枠で放送など出来ないということになります。
深夜枠で、2クールなら5000万円くらいであり、
U局であれば、その半分程度になるそうです。

さて、講演では話しは詳しくは話しはありませんでしたが、
このあたりのビジネスモデルを説明すると
最近のアニメの新作の放送が、U局や深夜枠になる理由が
みえてきます。
提供料から、広告代理店やTV局がマージン利益をとって、
残りから広告代理店やTV局の製作委員会への出資が出てくるわけです。
製作委員会は、TV局や広告代理店からの出資(=提供料の一部)と
そのほかの参加企業からの出資(広告宣伝費)から、
制作費と、作品の広告宣伝費を拠出することになるわけです。
(つまり、提供料が確保された時点で、
 広告代理店やTV局は、回収リスクは無くなるわけです。)
さて、製作委員会では、アニメの各権利を誰が利用するのかを
取り決めていきます。
つまり、出資の金額に対して、それぞれが権利を得て、
それをつかって利益を出して、回収することになるわけです。
制作会社が出資する場合には、主に制作費からの回収になるので、
赤字を出さないためには、制作費の利益よりも少ない金額に
せざる得なくなってます。(逆にそこまでは出せるともいえます)
DVD販社は、DVD売り上げで回収することになるわけですから、
DVDが売れない作品には、投資しないということにもなるわけです。
最近は、DVD売り上げが落ちているので、出資も下がっている
つまり、製作委員会に集める事の出来るお金が少なくなってるので
提供料の低い枠でないと放送できないということに
なっているわけです。
マーチャン関連では、関連商品の売り上げの10%以下程度なら
販促費として出資してくれると見込を立てて、話を持ちかけるようです。
リスクを伴うものであるので、やはり人間関係での信頼も
重要になっているのが、この世界ということのようです。
つまり、新参者は参加しにくい世界でもあるということです。

さて、講演では、海外への展開についてのお話もありました。
海外は厳しい状況にあるのは、知っていましたが、
まあ、それを確認させて頂けたというかんじです。
まず、アメリカではコミックを買う人が少ないということ、
売っている場所も少ないし、1冊8ドルから12ドルと高い。
高いのは部数が少ないからということで、
どうにもならないようです。
そこで、電子出版の方で、海外は攻めていくように検討中ということで
出版社が複数協力して、PSPでの配信コミック会社を設立し、
海外への販路拡張を目指していくということのようです。
まで、この分野でのビジネスモデルは、これからという感じです。
アニメ原作のコミック化については、
なかなか見通せないところが多いということのようです。
あと、雑誌については、作品の供給装置としての役割が主になっていて
やはり赤字とのことでした。
ただ、コミック販売にしても、作品がなければ成り立たないわけで
作品を産み出す源泉として、雑誌という媒体の役目は大きいとも
いえるようです。ガンガンは、そこに注力した結果として
あんなに分厚くなってしまったとのことでした。

後半は、田口氏が、これまでのアニメ作品で組んできた
毎日放送の竹田青滋氏がゲストで登壇されました。
ボンズの南雅彦氏も予定していたそうですが仕事で参加できなくなったとの
ことでした。
さて、会場からの質問も交えたような感じでのお話の展開が
多かったですが、アニメ作品の善し悪しを、どう判断するのかについて
シナリオ会議が面白い作品は、面白いということを
語られていました。

プロデューサーとして、その作品に投資してもよいかどうかは
企画段階で、判断することになるわけですが、
企画を通ったあとも、作品の良し悪しを感じるのは、
シナリオ会議に出て、作品がつくられていく上流に参加する
ことが大切であるということのようです。
描写や表現なども、シナリオの作成の流れのなかで、
作品全体として、必要かどうかをみて判断できるし、
そのような視点をもって、判断しなければ、
作品が良いものになっていかないということになります。
よく、描写、台詞などを、規制するかどうかの判断を
どうするのかという問いがあり、それについては、
作品全体として、必要か否かを基準とすべきだと
いうことでした。
知らない作品について、ある1話だけみて、
判断など出来るわけがないとのことでした。

テレビにおいてのコンテンツとしては、
アニメは不利になっているということのようです。
楽しみの多様化が進み、視聴率も低くなっている時代のなかで、
企画から1年かけて放送にもってくるようなコンテンツでは、
途中で止められないという不自由さがあり、
それなら、簡単に途中で止められるコンテンツの方が
良いといった見方もされているようです。
また、TV局のプロデューサやディレクターが、
サラリーマン化してしまっていて、放送を担っているとか
新しいコンテンツを供給するのだといった熱意が
なくなっているともいえるようです。
TVの創生期には、燃える魂をもった人が
多かったので、いろんな企画が実行されていたと
いったところであるようです。
確かに、昔、夜の8時に1時間のアニメが放送された
こともありました(野球狂の詩)。
作品も、基本の企画は、52話でしたしね。
それが、いまや、1クールが基準といった感じに
なってますし、企画も、オリジナルは稀となり
コミックやノベル原作といった客の見えているものが
主流になってきています。
お話のなかでも、結局は、人によるといった
ことになっていたように感じました。
作品にしても、監督の熱意と才能による部分が
やはり大きいようです。

プロデューサーに求められることとして、
現場の声に対して、No.からは入らないこと
でも、良い物をつくらないとダメであり、
それには、少なくとも、作品について、
いっしょに参加する姿勢が必要であるし、
意見も言うことも大切であるということ。
そんな、話しを伺っていて、
どんな分野でも、上に立つ人は、基本姿勢として
Yes、And。であるべきなのだということを
あらためて認識させていただきました。

今回は、制作の立場のお話では、なかったので、
クリエイターの生活の問題、新人の育成の問題などは
出てくることはありませんでしたし、
製作委員会のなかで、赤字になるケース、
失敗作についてのお話もありませんでした。
DVD販社、スタジオの下請けの方の話しを聞く機会も
あれば、業界の課題も、もっと見えてくることでしょう。
業界的には、やはり、閉鎖性はあるのかもしれません。
仲良くなった信頼のおける人とは組めるが、
見知らぬ人とは組めないというのが実体では
あるようです。ギルド的な要素の強い業界であると
いえるでしょう。
ゆえに、参入するなら、とにかく人脈が重要に
なっていくのだといえるでしょう。

そうそう、スクエア・エニックスさん、
「はなまる幼稚園」を、水島監督、ガイナックスで制作します。
意外性の組み合わせです。
残念ながら、既にコミックスをもっている私は、
売り上げアップには貢献できないです。
原作よりもキャラデザが、大人も園児も、
より、可愛らしく幼さげになっているようです。

オリジナルの企画について、エウレカセブンの話しも出ました。
ボンズからの企画に、竹田さんは、52話ならといったのは、
ボンズさんの企画が2クールものと知る前だったそうです。
その件は、あとから知ったとのこと。
あと、出版については、田口さんにも声をかけられたそうです。
当時、スクエアとしては、日曜の朝に、オリジナルの作品の
コミック化による参加は、リスク大きいということで
参加されなかったということです。
その結果、角川さんが、参加となったとのことでした。
コンテンツの企画は、最初に参加を判断するときに、
人気がでるかどうか、ヒットするかどうかが
見えない部分が大きいというリスクがあり、
その判断は、常に大変であるということです。
これは、映画、ゲームもふくめ、コンテンツビジネスにおける
大きなポイントでもあったりします。
何が、どんなきっかけで、ヒットするのか
わからない、ゆえに、ヒットメーカーと言われるように
なった人の目利きに信頼が高まるし、
ブランド力にも注目が集まるということになるわけです。

今回、地上波デジタル化の影響について、お二人の見解や
みたてをお聞きできなかったことは、
ちょっと残念でした。
2011年の地上波デジタル化は、コンテンツビジネスに
おいても大きな変化のときですから、
大きなチャンスのときでもあったりしますし、
大きなリスクのときでもあったりするといえるかも
しれません。

出版と放送、製作の2つの立場のトップランナーの
お二人のお話は、とても面白いものでした。
また、機会があれば、いろいろ伺いたいなと思った次第です。
posted by 禁酒・禁煙・ベジタリアンのITコーディネータ 松原広幸 at 03:48| 静岡 ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | アニメ・マンガ・小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

鉄道の日

 新暦での明治5年10月14日に、
日本に、新橋〜横浜を繋ぐ、鉄道が開通したことから
大正11年に、日本国有鉄道が、鉄道の日としたそうです。
その後、国鉄は、その不採算性から、民営化され、
JRとなり、サービスも向上してきて、
現在に至っています。
日本の鉄道網は、地方の赤字路線の廃止で、
若干、縮小しているのかもしれませんが、
東京都内のように、地下鉄、JR、私鉄の路線が
網の目のように、張り巡らされ、夜遅くまで
走っているような地域では、鉄道が交通手段の中心と
なっているといえるでしょう。
それゆえに、先の台風のときのように、
停止すると、大きな影響も出ます。
しかし、自動車が、電動になれば、環境への優しさに
おける優位性は、鉄道になくなります。
とはいうものの、時間の確かさでは、
やはり、日本の鉄道は、公共機関随一なのだと
いえると思います。
便利さに、感謝といったところでしょうか。
posted by 禁酒・禁煙・ベジタリアンのITコーディネータ 松原広幸 at 02:33| 静岡 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする