2010年07月29日

記事「アニメビジネスの現在」を読んで思ったこと・・・

ネットの記事に、

業界が“先祖返り”している――『ハルヒ』『らき☆すた』の山本寛氏が語るアニメビジネスの現在
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1007/26/news010.html

というものがありました。
人気監督が、どんなことを語っているのか興味深く読ませてもらいました。
多分、記事なので、抜粋されたりしていることでしょうから、
なんともいえない部分もありますが、
感じたことを徒然なるままに書いてみます。

ハルヒにしろ、らき☆すたにしろ、メディアミックス時代の
アニメ作品であるということを、忘れてはいけないと思っています。
山本監督の感じる今については、おそらくどのような環境で作品作りを
してきたかで、皆さん異なった印象をもたれるのではないでしょうか、
先祖がえりという言葉については、あまりそうは感じません。
昔も今もTVアニメのビジネスモデルの基本には何の変わりもないですから。
おそらく、現在主流のスキームとして言われているものは、
製作委員会方式のことを指していて、
昔というのは、スポンサー製作方式のことを言っているのでしょうけど、
今も、スポンサー製作方式の作品はありますし、そこはあまり変わってません。
変化は、メディアの多様化と、視聴率の低迷ということ、
景気の悪化による広告費の削減ということであるといえるでしょう。
1社で製作費を広告費として捻出できる時代でなくなったので
スポンサー方式が減って、製作委員会方式が主流になっていったわけですが、
それが、昔のように、スポンサー方式に戻ることはないでしょう。
『BLACK★ROCK SHOOTER』は、1社スポンサードの作品であるようですが、
このようなケースの方が稀といえるでしょう。
最近、コミックに、アニメ作品が付いて販売されるケースがありますが、
それに近い感じのものであるといえるかもしれません。
また、日清のCMでアニメ作品を展開したフリーダムなども、
面白い事例のひとつです。

TVアニメで、ビデオグラム販売が中心となるビジネスモデルは、
残念ながら駄目になっていくでしょう。
したがって、TVアニメにおける製作委員会において、
ビデオグラム会社が中心となるケースは減っていると考えられます。
出版や、玩具などのメーカーが中心となる形に、構成が変化して
いくのは仕方のないことだといえます。
しかし、1社スポンサーが主流になることはないでしょう。
その意味では、先祖がえりすることはありえないといえます。
ビデオグラムが、もっとも売れるビジネスモデルは、
劇場小スクリーン公開方式か、OVA方式だけになるということでしょう。
つまり、エアーチェックできない公開方式で公開して、
人気を高めて、板を売るということになります。
ちなみに、劇場作品のビジネスモデルと、TVアニメのビジネスモデルは
歴史的背景も、現状のシステムも異なるので、
ビジネスの視点でみると別なものと考えた方が良かったりもします。
ジブリは、劇場アニメを中心としたスタジオであり、
TVアニメを中心としたスタジオではないということも考慮して、
業界内の状況を見ていくことが必要であるともいえるでしょう。
京アニは、製作委員会にも入るようになっているようで、
深夜の放送時に、自社CMを流しています。
これから、生き残るスタジオは、自社でもある程度出資できる会社と
いうことになっていくかもしれません。

さて、記事のなかで。
究極の作画アニメとして、電脳コイルが出てきたのにビックリしました、
私は、電脳コイルは、作画アニメとしての評価はあまりしていなくて
SFアニメとして高く評価しているし、NHKらしいジュブナイルSFの傑作だと
思っています。
作画よりも演出とシナリオに注目しているアニメファンとしては
作画が、ほどほどでも、シナリオと演出がよければよいと思ってます。

「優れているものと面白いものとを切り離して考えないといけない。」
これは、昔から変わっていません。
今、突然に訪れたことではないので、今こそというよりも、
今も変わらずといった方がよいと感じます。
でも、今こそと感じさせてしまうものが、
業界の中にあるのかもしれませんね。
クオリティバブルについていえば、ハイビジョンが普通になり、
それに耐える映像品質が、ある程度確立したところで、
終わるような気がします。
製作費以内で作品を完成させるのが、ビジネスとしての映像作品であり
それをコントロールするのがプロデューサの役割なわけです。
赤字を出すのは、プロデューサのコントロールと戦略ミスということです。
もちろん、作品の質も無関係ではありませんが、作品の面白さと質の
違いは、客層によって異なるので、どのようなターゲットに向けて
発信する作品なのかを、見極める目があれば、リスクも少なくなると
いうことになります。

山本監督は、
東方Projectをブランドと言っていますが、
確かにその通りではあるのですが、
独立した一大市場というほどの市場規模ではなかったりします。
オタクアニメ市場と差ほど変わらないでしょう。
メディアミックスによるブランドは、一定規模のコアなファンで
支えられるというモデルであり、
一般大衆まで訴求するには、ディズニーやジブリのような
ブランド力が必要になってくるといえます。
東方Project、初音ミク、ラブプラス、などなど、
コンテンツ業界のブランドは、いろいろありますが、
やはり、一般的には知られていないものが大半であったりします。
NHK-BSのMAGネットが、うまく取り上げているなと関心して
いますが、おそらく、ファン以外では、
番組をみて、そのブランドを知る人が
一般視聴者の大半を占めるのではないでしょうか。

アニメ業界は、なくなることはないと思います。
おそらく、映画業界がそうであったように、隆盛を誇った時期の
ようにはいかないまでも、生き残っていくでしょう。
問題は、業界を支える人材を、きちんと育成していけるのか
ということになるのかもしれません。
コミケは、日本のマンガ業界があるからこそ、輝いているのであり、
今後、コミケのアニメ版が出てくるとしても、
それは、日本のアニメ業界があるからこそ、輝くものであるとおもいます。
それは、ゲーム業界でも、映画業界でも、同様であり、
コンテンツという、創造性をもった作品を巡る世界は、
その世界のなかに、プロといわれるトップランナーの存在が
あってこそ、アマといわれる一般の楽しみも、
存在していけるものであると思うからです。
それは、二極化という表現で差別化するよりも、
大衆化と世界化といった、フィールドの裾野の広がりであると
捉えていく方が、よいのではないかと感じます。

芸術家もいれば、職人もいる。
作品も、個人作品もあれば、制作チーム作品もある。
劇場作品もあれば、TV作品、OVA作品、ネット配信作品もある。
多様性の時代において、ビジネスモデルも多様化し、
視聴チャネルも多様化していくわけであり、
そこに、新しい可能性を見出して、発展させていくのが、
業界を支えるものが目指すべき方向性であるようにおもいます。

私も、アニメ好き、コンテンツビジネスに興味のあるものとして、
お手伝いが出来る機会があれば、お手伝いさせていただきたいと
思っていたりします。
posted by 禁酒・禁煙・ベジタリアンのITコーディネータ 松原広幸 at 03:10| 静岡 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ・マンガ・小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする