2016年02月15日

聖地巡礼に関する同人誌を読んで・・・・・


「true tearsと輪廻のラグランジェは、
BD/DVD単巻売上がほぼ同数であるが、
聖地巡礼の盛り上がりは乖離があり、
人気以外のパラメータが聖地巡礼の成否に
影響するのではないか」
という問題提起を受けて執筆されたという
同人誌・考察
『アニメの聖地巡礼によるコンテンツツーリズムの
 成否を判断する材料としてアニメの人気を
 測定する試み』(著:綾瀬なずな 氏)

を読ませて頂きました。

 なかなか面白かったです。
アニメの人気が、聖地巡礼の成否の要素であることは
既知のことではあります。
また、人気以外の要素が聖地巡礼の成否に
影響することも実は既知なことで
あったりします。
アニメの人気を測定する指標についても
既知のものがいくつか存在しています。
その中のひとつにスポットをあてて、
聖地巡礼との関係性を評価してみるという内容として
ひとつ整理されている内容ではあったと思いました。
(人気を一般的に考えるのであれば、
結局のところは、認知度と知名度ということに
なるでしょう。どのくらいに人が知っているのか
ということに尽きるとなるわけです)

聖地巡礼をコンテンツツーズムとして
成功させる為のノウハウは何かという視点で
考察する場合に、その成功要因としての
パラメータがいくつか存在していることは
既にわかっていることですが、
その各パラメータが、どの程度の影響度をもって
いるのかについては、聖地毎に異なっている
部分も多くあるため、難しい部分となっていたり
するわけです。

一応、いくつか補足させてもらっておくとするならば
コンテンツツーリズムの研究において、
費用対効果は評価指標のひとつであり対象となっています。
効果評価ももちろん研究対象です。
ただし多くの事例において、
計画的に成功した事例はないことも事実であり、
計画と成果という比較は難しい部分でもあるということも
知っておくべきでしょう。
また、アニメの聖地巡礼を材料にする人は、
アニメ結構見ている人も多いです。
アニメの中身や、現状のアニメ業界の水準についても
当然知っているものです。
しかしながら、観光業という視点から評価するのであれば
アニメ業界に精通している必要はないでしょう。
また、アニメ業界から観た場合には
コンテンツツーリズムはオマケでしかないということも事実です。
従って、コンテンツツーリズムの効果がどうであるかは
製作においては考慮されていることは原則的にはないでしょう。
もちろん、例外的な作品もありはしますが、
あくまで例外でしかありません。
ビジネスとして考えるのであれば、
アニメ製作にあたっては、リクープ目標があり、
それをクリアできる否かが、評価の基準であるということです。
(出資会社毎に異なる目標があったりもしますが)
視点を変えて、地域からみた場合には、
地域活性化の素材として注目するということになります。
その場合には、目的も目標も異なってきます。
当然、成否の基準も様々となります。
コンテンツツーリズムの成否には、共通の基準は
無いとも言えるでしょう。
個々の事例毎に、成否基準が異なるというのが実態であると言えます。

コンテンツツーリズムの成否とアニメの人気についての
一考察についてですが、
まず、事前に幾つかの定義を行ってから
論じないと評価は難しいように思います。
定義すべきものとして、
次の3つは欠かせないでしょう。
・人気と何か
・コンテンツツーリズムの成功とは何か
・コンテンツツーリズムの失敗とは何か
評論において、人気を、ネットのSNSでの取り扱いに
言及していますが、
この考察の中でも少し触れられはいましたが
あにこれβの評価者の皆さんはある程度独自性を持つ人たちと
考えるべきであり、
一般論としての評価指標として、
これだけをもってくるのは妥当とは言い難いかなと
感じるところではあります。
SNSは、そのSNSの参加者の属性と傾向によって
重み付けられたデータとして扱う必要があるでしょう。
(少女向け作品の評価が低いのは、
あにこれβ参加者の嗜好の違いというだけのことだも
言えるわけです)
また、人気を測定するにあたっては、
単一指標に頼ると言うこと自体が
精度を落とすアプローチであると言えます。
より多くの指標をもって総合的に評価することが
重要であると言えるでしょう。
あにこれβの評価結果は、その中のひとつでしかないと
捉えるべきだということだと思います。
考察にあたり、
無意味としていた
BD/DVD販売数
(確かに統計に抜けがあることは既知であり、
改善方法が検討されてもいたりしますが、
統計条件上では正しい値であるので
それなりに評価出来るものでもあります)
や、ネットの情報として
考察にあたりあげられていた、
Pixivイラスト数
Twitter言及数
GoogleAnalytics結果
も含め、
指標としてざっと挙げてみても、
CD販売数
音楽配信ダウンロード数
レンタル数
TV視聴率
ネット配信視聴数
劇場・イベント観客動員数
アニメアニメアンケート結果
アニメ雑誌アンケート結果
あにこれβの評価結果
Youtubeアクセス数
ニコニコ動画取り上げ数・アクセス数
同人誌取り上げ数
グッズ物販売上数
などなど、多数の情報が存在しており、
それぞれに、
人気と関連している指標であると言えるでしょう。

ちなみに、人気があるからといって、
コンテンツツーリズムとして成功するわけでもありません。
人気は必要条件でしかないということも
忘れてはならないポイントであると言えるでしょう。

さて、本誌考察での2つのメインテーマについてですが、

ひとつめの
「単巻ソフト売上がほぼ同数のtrue tearsと輪廻のラグランジェ
両者の人気は果たして大差ないものだったのか。」
->結論「true tearsは輪廻のラグランジェと比較して
はるかに人気があるコンテンツだと言える」
に関しては、アニメファンの視点ではその通りという
ところなのかもしれません。
製作視点からは、同程度となるかもしれません。
聖地視点からも、同程度かもしれないなと
思う部分もありますね。

ふたつめの
「ハルチカの聖地巡礼がどうなるか予想する」
→結論「ハルチカの聖地巡礼は盛り上がるとは思えない」
に関してですが、まあその通りでしょう。
また、現地も、それほど大きな期待はしていないと思います。
私の郷里である静岡市、しかも卒業生の友人も多い
清水南高校が舞台の作品ですので、
個人的には盛り上がって欲しいと願っていますが、
原作を読み、アニメを観た限りにおいて、
聖地巡礼向きの作品とは言い難いのは事実ですし、
作品自体も、アニメオタクを引き付けるパワーには
いまひとつ欠けていると感じましたからね。
氷菓+響け!ユーフォウム割る2みたいな
作品になってますから。
制作会社のアニメファン内ブランド力も、
やはり京アニの方が上であるのは事実でしょうからね。
ただ、地元もそれなりにしっかりと対応しているし
地方活性化アニメの老舗とも言える
P.A.WORKS作品ですので
それなりにはなるのかなとも思っています。
とはいっても、板・紙が売れないと
1クールで終わりでしょうからね。

ところで、
私の所属するコンテンツビジネス研究会でも
聖地巡礼について、テーマとして取り上げています。
地方創生が叫ばれるなかで、
聖地巡礼、コンテンツツーリズムは、
観光の視点からも注目されている案件であることは
間違いのない事実です。
日本が、MAGコンテンツを豊富に所有しており、
文化としてのレベルにまで成長していることも
事実であると言えるでしょう。
上手く活かして、それぞれが、Win-Winとなるように
もっていくには、どうしていくのが良いのか、
いろんな視点からアプローチしていってくことによって
見えてくるものもあると感じています。
posted by 禁酒・禁煙・ベジタリアンのITコーディネータ 松原広幸 at 21:00| 静岡 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ・マンガ・小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする