2016年09月15日

映画産業とITと・・・


「シン・ゴジラ」「君の名は。」が大ヒットして
いろんな方が、感想や評価を発言されていますね。

 映画産業も、IT技術の進歩の流れの中で、
その形を大きく変化させてきています。
 劇場は、単館スクリーンが激減していき、
殆どがシネコン形式の劇場に変化しました。
その結果、作品の上映を劇場側でもある程度コントロール
出来るようになり、従来の配給上映以外の上映が増えてきていますし、
劇場そのものが映画を観るだけの場所ではなく
イベント会場としての色合いを濃くしてきてもいます。
 ライブビューイング、劇場中継、コンサート中継と
いった企画をはじめとして、
応援上映、女性限定、ママさん上映、コメンタリー上映、
大声上映といったものが登場してきたわけです。
 また、映画の上映そのものも、
3D上映、IMAX上映、4DX上映、爆音上映といった
付加価値を高めた上映が出来るスクリーンの登場により
客単価を高めてきてもいます。

 そんな中で、近年、劇場公開されるアニメ作品が増加の方向にあることは
周知のことであったりします。
 なぜ、増えているのか、それは興行収入や副収入が、
ある程度見込めるということが大きいく、
ビジネス的にリスクが少ないからということなわけです。
映画産業は、リスクの大きな興行ビジネスですから、
出来る限りリスクを少なくする方向に企画は流れるのは
必然であるということです。

 アニメにおいても、TVシリーズの初回や最終回を
イベント先行上映として劇場で公開するということも多くなっており、
OVA作品にしても、劇場で期間限定上映することが
当たり前な感じになってきています。
 舞台挨拶にしても、最近は中継によって
全国の複数のスクリーンで同時に観るといったことが
行われるようになってきました。
これらの変化は、デジタル上映が当たり前になってきたということと
ネットや放送の中継におけるの画質音質の向上や、
使用コストの低下といったITの進化による背景があってのことだと言えるでしょう。
フィルム上映時代は、フィルムを公開するスクリーン分作成するという
手間とコストが大きくありましたが、
デジタル上映となって、その手間とコストが一気に削減されてしまいました。
また、フィルムは上映回数が増えると劣化していったのですが、
デジタル上映により、その心配もなくなったわけです。
シネコンでは、全スクリーンで同じ作品を上映するといったことや、
上映スクリーン数を変更するといったことも簡単に対応できるようになっています。
とはいっても、映画館のスクリーンの稼働率は、東京でも3割程度であり、
全国平均だと、その半分程度という状況は変わっていません。
つまり、スクリーンに平均2割お客さんが入っていれば
良い状況であるといったレベルなわけです。
基本的には、土日に殆どのお客さんが集中するわけですから、
平日の稼働率は更に低いということになっています。
レジャー産業は休日にお客さんがあり、平日はお客さんが少ないのは当たり前なわけですから、
平均稼働率が低いのは仕方が無いと言えるかもしれません。
しかし、劇場側としては利益を確保していくためにも
稼働率をあげたいし、回転率もあげたいわけです。
その為に、様々な努力を行っているということになります。
残念ながら、単館時代には出来ることも限られていました。
シネコン時代になり、デジタル化が進むことによって、
ようやく劇場としても出来ることが多くなってきたといった感じでしょう。
出来ることが多くなれば、回転率も、稼働率も劇場の努力次第で、
あげていくことが可能になってきたわけです。


さて、劇場側としては、稼働率の高い作品を回転率を高くして
上映したいのが希望であるわけです。
シネコンでは、その為の調整が行われています。
上映時間や上映スクリーンが週替わりするのは、
まさに、稼働率と回転率を上げるための努力の結果であると言えるわけですね。
当然、IT的には顧客データの活用による調整精度向上アプローチがあり得ます。
稼働率の高い時間帯に上映するというのは基本でしょうし、
稼働率の高い作品を広いスクリーンで上映することも基本でしょう。
回転率をあげるために、複数のスクリーンで上映したりもするわけです。
その結果、ヒットしない作品の上映回数は減っていきます。
そして、劇場側としては稼働率の高い作品はロングランしたいわけです。
通常であれば、4〜5週間の上映ですが、
更に延長した上で、その後も1日1回上映という形で継続し、
10週以上のロングランを行う作品も出てきています。
逆に期間限定上映(2週間/3週間)として、来場を促して
稼働率を高める企画も出てきています。

劇場側としては、以下の作品が良い作品ということになります。
・回転率が高い(上映時間が短い)
・稼働率が高い(リピーター多い/複数同伴が多い(カップル/夫婦/家族))
・付加価値上映(IMAX/3D/4DX)が出来る
・飲食販売に繋がる(作品コラボセット/ドリンク)
・物販販売に繋がる(パンフレット・グッズ)

また、稼働率をあげるビジネスモデルとして、
ドリパスというファンの観たい作品を限定上映する
ビジネスも登場しています。
これは、劇場側にとっても、ありがたいビジネスです。
スクリーンの稼働率を高めることが出来るからです。

さて、劇場でのアニメ作品が増加している理由は、
アニメ作品が劇場にとって良い作品であるからです。
その理由は、コアなファンが存在していて、
稼働率や物販について実績から予測が立ちやすいということがあるからです。
コアなファンは、物販や飲食コラボサービスを通常作品よりも多く購買してくれます。
気に入った作品であれば、リピート観賞もしてくれます。
上映時間も長くはないので、回転率も良い作品が多いです。
そう言ったこともあって、アニメ作品には、
小数館での上映でありながら、興行成績上位に入ってくる作品が多かったりもするわけです。
ちなみに、2015年11月に77スクリーンで公開されて、
その後、公開スクリーンを増やしていき、2016年2月には4DX版が公開され、
今もなお立川シネマシティで極上爆音上映が継続中の作品があったりします。
ファンの力の凄さを示す典型的な事例であると言えるでしょう。

劇場は、今や、イベント空間であると言えます。
今後は、VRなどの技術も導入されていくことになるでしょう。
イベント形式も、様々な工夫が行われていくことになるのは間違いないと言えます。
家でテレビで観るのでは得られない楽しみを提供し、
劇場でなければ味わえない感動や体験を提供していくことにより
少子化や趣味の多様化といった逆風に対抗していく流れは
もはや既定路線であると言えるのではないかと感じます。

また、地域との連携という方向性もあり得ると思っています。
地方ならではの映画祭といった企画もあって良いでしょうし
その地方ならではの上映企画があっても良いでしょう。
映像コンテンツを通じた地域イベントの核としての存在価値を、
シネコンは持っていけると思っています。

もちろん、上映すべき良い作品、魅力あるコンテンツが
大事であることは、昔も今も変わることはありません。


ITの進化と映画産業の変貌
https://vpoint.jp/column/72503.html
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posted by 禁酒・禁煙・ベジタリアンのITコーディネータ 松原広幸 at 13:58| 静岡 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム:ITコーディネータから贈る言霊の風 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

気になる作品など

「君の名は。」が大ヒット中ですが、
個人的には、「planetarian 星の人」の方が好きかもです。
http://eiga.com/movie/84769/review/01346580/

京都アニメーションのヒットメーカーによる
「聲の形」
http://koenokatachi-movie.com/

ジブリブランド作品である
「レッドタートル ある島の物語」
http://red-turtle.jp/

個人的も推している
「この世界の片隅に」
http://konosekai.jp/

あたりの作品の興行は気になるところです。

新海誠 監督の「君の名は。」
公開17日間で累計動員数481万人
累計興行収入62億円と好調を維持していますね。
果たして、宮崎駿監督以外の初の100億監督となれるのか?
借りぐら、ドラえもんに届くのか?
注目です。

監督:宮崎駿
304.0億 千と千尋の神隠し
196.0億 ハウルの動く城
192.1億 もののけ姫
155.0億 崖の上のポニョ
120.2億 風立ちぬ

監督:米林宏昌 脚本:宮崎駿
92.5億 借りぐらしのアリエッティ

監督;八木竜一 山崎貴 原作:藤子・F・不二雄 脚本:山崎貴
91.8億 STAND BY ME ドラえもん

監督:〓橋滋春,ウシロシンジ 脚本:加藤陽一
78.0億 映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!

監督:宮崎吾朗 原作:アーシュラ・K・ル=グウィン
76.5億 ゲド戦記

監督:湯山邦彦 脚本:首藤剛志
76.0億 ポケットモンスター ミュウツーの逆襲

監督:長峯達也 原作:尾田栄一郎
68.7億 ONE PIECE FILM Z -ワンピース フィルム ゼット-

監督:森田宏幸 脚本:吉田玲子 原作:柊あおい
64.6億 猫の恩返し/ギブリーズ episode2

監督:湯山邦彦 脚本:首藤剛志
64.0億 ポケットモンスター 幻のポケモン ルギア爆誕

監督:静野孔文 脚本:櫻井武晴 原作:青山剛昌
63.0億 名探偵コナン 純黒の悪夢

監督・脚本・原作 細田守
58.5億 バケモノの子

監督:庵野秀明 ・ 前田真宏 ・ 鶴巻和哉 ・ 摩砂雪
55.6億 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q
posted by 禁酒・禁煙・ベジタリアンのITコーディネータ 松原広幸 at 13:54| 静岡 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ・マンガ・小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする