2010年01月28日

「日本発コンテンツの創出と海外への浸透が産む日本への理解」

 昨年末は、77回目を数える世界最大の同人誌イベント
コミックマーケットで開催されたシンポジウムに
参加してきました。

シンポジウム
「日本発コンテンツの創出と海外への浸透が産む日本への理解」
  国際会議場7F 12/30(水)15:30〜17:00
  主催:コミックマーケット準備会

 シンポジウムの前に行われたセミナーにも参加させて
頂きました。
「コンテンツ産業〜絵物語4上流+1、周辺の産業構造とその課題〜」

午前中は、コミケ会場を、見て回りましたが、
相変わらずの人の多さで、圧倒されるところです。
私はいつもの通り、SF創作系のところへ行って
何点か購入してきたといったとことでしょうか。
西館2階は、企業ブースということで、
日本のコミック関連、アニメやゲームなどのビジネスが
どのようなコンテンツ展開をしているのか、
その最新動向をかいま見ることが出来たりします。
数万円の商品が完売するという勢いには、
いつも、日本の同人ファンのパワーの凄さを感じます。

さて、シンポジウムですが、
コンテンツについては、日本のビジネスとして
海外への展開をしていくということが、
政府からも言われてきていました。
しかしながら、今ひとつの状態になっている部分が
多いともいえます。
クールジャパンと言われたり、
カラオケ、オタク、萌え、かわいい、・・・・
といった言葉が、世界に広がっていっているという
こともあったりするわけです。
日本のコンテンツ文化が、海外で魅力を感じて下さる人が
増えてきていることは確かなことであるといえるでしょう。
とは、言っても、まだまだメジャーというほどでは
ないのかもしれません。
シンポジウムでは、登壇された皆さんから、
それぞれの立場で、日本のコンテンツの今後について、
コミックマーケットが、そこでどんな役割を担えるのか、
また、どんな展開があり得るのかといったことも
考えさせてくれるお話でした。

「コミックマーケットの現状と海外参加者」
 コミックマーケット準備会共同代表 市川孝一氏

 コミックマーケットの歩みと現状、そして課題について、
データを踏まえて報告して下さる内容でした。
あらためて、コミケの凄さを感じさせられた気がします。
そして、同時に海外交流としての可能性も感じられました。
1975年より始まり、当初は、32スペース700人程度の規模で
推移していて、1986年〜1995年のC31〜C49、
第一期有明C50〜C57、第二期有明C58〜C71、
そして、C72以降と、変化、発展をし続けてきたということです。
当初は、創作系の同人誌中心であったのが、
アニメやマンガのパロディが広がり、ゲームや関連する
周辺ジャンルにも広がっていって、
現在の規模に至っているわけです。
 時代の流れのなかでは、いろんな課題や問題も発生し
その時々に、最善の対応をし対策を積み重ねてきているわけでも
あったりします。
 2006年に前代表が急逝されるという困難もありましたが
それを乗り越えて、まさに世界一の民間団体主催による
屋内イベントになっているわけです。
参加者の内訳について、30周年の2004年と2009年冬の比較が
されていましたが、やはり高年齢化はみられるようです。
35過ぎても参加している人は生涯の趣味として
今後も続けていくだろうから減らないという見方は同感でした。
男女の比率で、以前の方が女性が多かったというのは、
男性の女性化、女性の男性化が進んでいるともいわれる
社会の状況を反映しているのかもしれません。
今回の報告で、注目されたのが、海外からの参加のお話です。
90年代から、アニメやマンガが海外でも注目されてきて
海外でのコンペティションも行われるようになるにつれて
海外からの参加者も増えてきているということでした。
ブースの参加は、日本に住所がないと出来ないものの
委託での参加や、見学参加、コスプレ参加など、
年々、増加してきているそうです。
その対応が、大変ということになっていて、
コミケの大きな課題となってきているそうです。
問題の第一は、言葉の壁ということですね。
ボランティアスタッフの外国語しゃべれる人を総動員しても
対応しきれていないということのようです。
また、いろんな国から来ているということで、
英語や、中国語、韓国語だけでは、対応しきれないようです。
インターネットの普及や、外務省の日本紹介ビデオ映像や
海外のイベントでの紹介などで、注目度が大きくなっていると
いうことでもあるようです。
 コミケの国際化にあたっては、
やはり、言葉の問題が、大きいようです。
また、連絡手段の問題もあるようです。
そして、文化的な差異に関わる問題も大きいようです。
出版文化に関する差は、レーティングや再販など、
同人誌という文化が、日本の土壌をベースにして
発展してきたものであるということ、
それを海外の人が理解し受け入れてもらえるのかと
いったあたりのようです。
 いろんな課題があるものの、コミケは、時代の変化を
受け入れて、発展してきたものであり、
今後もそうあり続けることでしょう。
 コンテンツを日本の文化として、発信して、
観光やビジネスに活かしたいという日本政府の方針もあり
注目されていくイベントであるということに変わりないと
いえるでしょう。

「コンテンツ創出 アニメーションに関する報告と提言」
 東京芸術大学大学院映像研究科教授 岡本美津子氏

 アニメとコミケといえば、アニメのパロディものという
ことが中心になっていたわけですが、最近はひとりでも
アニメを制作できるような環境が整ってきており、
コミケでも創作系としてあり得る分野ともなっていると
おもいます。
 さて、お話は、アニメーションの抱える現状の課題に
ついてといったあたりでした。コミケにくる人にとっては
知らないことも多かったかもしれませんが、
この分野は、コンテンツビジネス研究会でも調査してきて
いたことであり、私にとっては、再確認といった内容で
あったといえるでしょう。
 才能がある人の出てくる場所は、それなりにあるものの
その才能を伸ばす仕組みがなりということについて、
カタパルト・プログラムの必要性を語られていました。
 1.海外へのマーケティング展開の強化
 2.プロジェクト単位の小規模の助成制度の充実
 3.プロデュース機能の充実の強化
といったポイントについては、これまでも言われてきています。
残念ながら、なかなかうまくいっていません。
ひとつには、政府の縦割りの弊害と、物ではないソフトへの
助成や育成の視点の欠落による政策の不備が大きいといえます。
また、業界の構造やビジネスモデル上の制約というものも
大きな障壁となっている部分があります。
そして、プロデューサーの人材不足があります。
ラインプロデューサや会社所属の役職プロデューサーはいても
コンテンツ全体をトータルにプロデュースできる人材が、
少ないために、海外への進出もなかなかうまくいかないと
いったことになっているといえるようです。
また、独立系のプロデューサーが育たない環境に
日本のコンテンツビジネスの業界がなってしまっているという事が
非常に大きいともいえるでしょう。
 アニメーションに関しては、人材育成と作品の創作者が
きちんと生活できるようなビジネス環境を作っていくことと
いったことが課題であるものの、その改善方法は、
もうしこし業界内の改革も含めた行っていくことが必要で
あるといえるでしょう。
 日本の問題として、アニメだけでなく、文化や芸術に対する
社会の中での育成に関して、独特なものがあり、
また、それぞれに異なる対応や改善が必要であるのに、
行政や企業の支援やサポートが、それに対応できないといった
ことが疲弊や衰退の要因に繋がっているような気がします。


「ポップカルチャー外交」
 外務省 中東アフリカ局中東第二課長 中川勉氏

 外務省の行ってきた施策についての紹介など
いくつかの事例を踏まえて紹介して頂くと共に
コミケに対する期待について語って下さいました。
 パリのジャパンエキスポでの日本の文化への
関心度の高さについては、国内では余り報道されて
いませんが、大きなものがあるようです。
ただ、それはビジネスには結びついていないというのも
実態であるように感じます。
 日本のポップカルチャーは、日本を海外に
アピールするのにとても重要な役割をもっているという
ことについて、外交面でも貢献しているということですが
日本の不思議に、海外で貢献している日本人や
日本の文化などが、国内に知られることがないという
ことがあるように感じます。
外務省も国内向けにピーアールすることも必要なのかなと
感じたところもあったりします。
 国際漫画賞、アニメ文化大使、世界コスプレサミット、
カワイイ大使(ポップカルチャー発信使)、
海外日本関連大型イベントとの連携など、
外務省もいろんな試みを実施してきています。
 ソフトパワーへの注目と認知の国内的な問題と
海外へのアピールの課題は、関連している部分もあるようです。
やはり、外務省をはじめ、コンテンツビジネスと文化に関して
国土交通省(観光庁)、文部科学省(文化庁)、厚生労働省、
経済産業省など、横連携を強くしてもらって、
地方自治体も巻き込んで、展開していってもらいたいものです。
でも、今の行政は、それが出来ないというダメ組織でも
あるのが実態であるということのようです。
 目に見えない効果をうまく評価できないことが
外務省の課題となっているようですが、
工夫次第で、いろんな方法があると思うのですが、
やはり、そのあたりは、専門家に依頼することも検討して
欲しいという気がします。


「日本発のコンテンツとしてのファッション」
 東京大学大学院情報学環特任講師他 中村仁氏

 コミケとファッションといえば、コスプレと
いうことになります。
ファッションというコンテンツは、日本もかなり世界では
注目されているものであったりします。
アジアでも、日本のファッションは注目されているわけですが
ファッションの分野は、同人となると、書籍等との
違いとして、やはり数をつくるのが難しいという点が
あげあれるようです。
 オリジナルは手縫いが基本ですから、
まず量産は大変なことになるわけです。
 ポップカルチャーとしてのファッションについても
ロリータ&ゴシック、ロリータ&パンク、
カワイイ、など、注目されているものが多く
日本にくる観光客のファッションへの消費も
大きなものがあるということのようです。
 サイズなど、問題もあるみたいですが、
コスプレは、日本よりも海外の方が盛んであったりするので
今後も注目される分野であるといえるでしょう。


海外との交流のなかで、異文化交流ほど、
エキサイティングなものはないのかもしれません。
日本人は、もっと日本の文化の良さに目を向けるべきだと
いえるでしょう。
どうも明治維新以降、海外のものが良いという
悪い習慣がついていってしまったような気がします。
海外のものは、確かによいものもあるけど、
日本のものの方がもっと良いものもあるということに
社会が目を向けていくことが重要になっていると
感じます。行政もそうですが、企業にも同じことが
いえるでしょう。成果主義の失敗など、海外で一時期に
成果を出したものが、日本で成果を出せるかどうかは
わからないということです。
日本人にあった食文化があるように、
生活慣習や労働の仕方もあるといえるでしょう。
もちろん、文化というものには、歴史がかわれっています。
老舗が世界一多い国である日本における
ビジネスモデルは、海外と違ったものであって
おかしくはないといえるのではないでしょうか、
日本基準が海外基準にあわなくても、
多様な文化や価値観が、共存できる社会であれば
問題はないはずです。
そのような社会を世界に先駆けて築く事が出来る
可能性を日本はもっているとおもいます。
そして、コンテンツ文化も、そのなかで大きな意味を
もったものであると言えるでしょう。
今後も、コンテンツ文化には注目していきたいし、
出来る限り、関わっていければ良いなとおもいます。


コみケッとスペシャル5in水戸
http://cmksp.jp/mito/
2010年3月21日・22日に「コミケでまちおこし」をテーマに
茨城県水戸市で開催されるとのこと。
(5年に一度の開催とか)

2010年の夏コミ(コミックマーケット78)
8月13日(金)、14日(土)、15日(日)開催

米沢嘉博記念図書館
http://www.meiji.ac.jp/manga/yonezawa_lib/
コミックマーケット準備会前代表である
故・米沢嘉博の蔵書の寄贈・寄託を中心として、
明治大学が設立した図書館。
(2009年10月31日開館)

東京国際マンガ図書館
http://www.meiji.ac.jp/manga/
マンガ・アニメ・ゲームなどのサブカルチャーの複合アーカイブ施設として、
明治大学が設立を予定している施設。
米沢嘉博記念図書館は、この先行施設となる。
(2014年度完成予定)
posted by 禁酒・禁煙・ベジタリアンのITコーディネータ 松原広幸 at 08:05| 静岡 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ・マンガ・小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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