2010年05月21日

ハーバード白熱教室 「Justice」第七回 カントから、ロールズへ

 義務と自律の考え方から入って、
カントの哲学を解説していく、面白いしわかりやすい講義、
翻訳でもよくわかるくらいだから、本チャンはもっとわかり
やすいのだろうなとおもいます。

 道徳法則は、理性によって、もたらされる道徳法則は、
普遍的なものであり、誰でも理性により自律的に求めるものは
同じ定言命法にたどり着く、そこから導き出されるものは
誰においても同じになる。

 感性の世界と理性の世界という2つの世界をもって、
自由とはなにか、自律とはなにか、を論じていく、

「我々が自分自身を自由だと考えるとき
 我々は叡智界の一員として、意志の自律性を認識する」

 人は、理性的な存在だけではない。
自由と必要という領域に住んでいるために、
理性的な行動をとれるとは限らない。
経験則では、道徳性は導かれない、それは、経験は、
何らかの要請により導き出されたものであり、
原因と結果が伴っている、道徳性は、経験なしで、
すでに存在しているものである。
科学が、道徳性を解明できないのは、科学が経験に基づく
ものであるからである。
 この論理は、神の叡智における説明とピッタリくる。

 嘘は絶対に許されない、しかし、誤解を招くかもしれない
真実は許される、なぜなら、それは嘘ではないからである。
ここで注意する必要があるのは、真の動機がどこにあるのか
ということになるわけです。
真実を伝えることは、義務に対する敬意を払うことであり
それは、道徳法則の尊厳のなかにある。
嘘を付かないことは、道徳法則の尊厳への敬意があり
その動機があることで、それは道徳律のなかにある。
結果が何であれ、その動機において、真実があることが
重要であるということです。

(人は、心と身体と魂からなるものです。
 魂の所在が、叡智界であるといえるでしょう。
 心と身体は、感性界にあるということです。
 科学が感性界にあるのは、まさに身体=物質を扱って
 いるからであるということです。)

 仮説的契約の道徳的な意味づけを探る

「権利の原則を生み出す契約は、単なる理性の理念である。
 しかし、それは疑いのない実践的な現実をもっている。
 それは、すべての立法書に法を起草する際、
 その法が国全体の統一意志によって
 生み出されたかのように起草するよう
 義務付けることができる」

 カントから、ジョン・ロールズへと話しが展開する。

「人間は、正義に根ざす不可侵性を持ち
 社会全体の福祉でさえ、これを侵すことはできない。
 正義により守られたその権利は
 政治的な交渉や社会の利益の計算に
 左右されることはない」

『無知のベール』という考え方によって、
仮説的契約が機能する条件、道徳的な価値は何か、
それを説明していく。
現実の契約における正当性をどう考えるのか、
現実の契約は、それだけでは道徳的ではなく、
正義でもないということ。
なぜか、道徳的な条件が必ずしもあるとは限らない
からということ。無知のベールのもとで、
道徳性をもった条件をみたした上で行われる
仮説的な契約だけが、人に義務を与え、
束縛することができる。
もちろん、現実の契約も道徳的な効力をもつ
すなわち、拘束ないし義務を負うことが出来る
それは、同意に基づくもの、自分自身に対する
自律的なものとして果たすべき義務を課したことから
生じるものと、相互性として、お互いの便益より
生じるものである。
しかし、現実的な契約には、道徳的な限界がある。
同意が、必ずしも公正さを満たすものではない。
同意は、義務の必要条件でもなく充分条件でもない。
同意がなくとも、義務が生じることもある。
この一連の解釈を、事例を交えて説明していく。

便益より生じる義務に対して、同意は必要ないという
議論のなかで、便益とは何かという問いに流れた、
便益の図るための同意が必要だという学生に対して
便益を図るのには同意は必要はないという説明を
するために、話しを進める。
自律と相互性は、2つの異なる理想である。
そして、現実の契約では、必ずしもその理想を
もっているとはいえない。

「平等な人々の間の仮説的な契約だけが、
 正義の原理にもと付いて考えられる唯一の方法である」

 自律 − 同意の公正
 互しゅう性 − 利益の公正

「無知のベール」の仮説的実験は、
インターネットの登場により、実施することが
可能になったといえるかもしれません。
ネットの匿名性と秘匿性を使って、無知のベールに
近い状況をつくりだして、議論することで、
無知のベールの下での法の草案が可能になるかも
しれないなとちょっと思ったりしました。


次回は、能力主義に正義はない?。才能の分配と正義という
テーマで語られるようです。

ハーバード白熱教室 「Justice」
http://www.nhk.or.jp/harvard/index.html

ハーバード大学
政治哲学のマイケル・サンデル教授の講義「ジャスティス」
http://athome.harvard.edu/programs/jmr/
posted by 禁酒・禁煙・ベジタリアンのITコーディネータ 松原広幸 at 00:07| 静岡 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 科学・文明・学術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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