2011年10月25日

1キログラムの定義の見直し・・・

 最近のニュースにて、1キログラムの定義の見直しが
検討されていることが流れていました。

 キログラム 120年ぶり見直しへ
 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111017/t10013300972000.html


SI単位系の時間と距離の重さの定義のなかで、
その基準が、人工物で決められているのは、今では重さだけと
いうこともあって、他の基準と同様に変更しようということで
あるわけです。


時間の基準である秒については、
太陽の見かけの地球1周の時間を24分割した太陽時の
60分割を分として、その60分割を秒としていました。
つまり、1日の86400分の1が秒の基準とされていたわけです。
しかし、1967年に原子時計の時間を基準として採用することに
変更されて、現在では、
福島原発事故で注目の的になったセシウムの同位体のひとつ
セシウム133の原子の基底状態の2つの超微細準位間の遷移により
放射される電磁波の周期の9,192,631,770倍に等しい時間を
1秒として定めています。


距離の基準の法は、メートル原器が1メートルの基準として
使用されていました。
1879年に、フランスで白金90%、イリジウム10%の合金で
作られたものを基準としていたわけです。
しかし、これも、1960年に、物理現象によるものに定義が
変更されています。
1650763.73λKr。クリプトン86元素が一定条件下で発する
橙色の光の真空中波長の長さを1メートルと定めています。
1983年には、
光の速度を基準にした長さに変更になりました。
299,792,458分の1光秒(約3億分の1光秒)の到達距離が
1メートルと定められたわけです。


日本では、尺貫刻が基準であったわけですが、
1885年に国際条約に加入して、1890年に、日本国の
メートル原器とキログラム原器をもつようになっています。

さて、原器で定義されているのは、今は重さだけに
なっているわけです。
重さの定義も歴史の流れのなかで変化してきたようです。
水1リットルの質量を1キログラムとしていたわけですが、
体積の温度変化を考慮して、
1790年に、最大密度(=液温摂氏4度)における
蒸留水1立方デシメートル(1リットル)の質量を
1キログラムとすることに再定義されています。
しかし、気圧の影響もあり、
1889年に、国際キログラム原器の質量を1キログラムとする
と定義されて、今日に至っているわけです。
国際キログラム原器は
直径・高さともに39mmの円柱形の
プラチナ(白金)90%、イリジウム10%からなる
合金製の金属塊であり、
真空中に保護された状態でフランスに保管されているようです。
“Le Grand Kilo”(ル・グラン・キロ)
が、今の1キロの基準であるわけです。
しかし、やはり原器の変化は避けられるものではないこともあり
他の基準のように、物理的な定義に変更しようということで
検討がされているというわけです。

新しい定義には、いくつかの案があるようです。


一定個数のケイ素 (Si) 原子の質量をキログラムとする原子質量標準。
(アボガドロ定数の値 NA = 6.022 141 29(27)×1023 mol-1
 (CODATA2010年推奨値。括弧内は標準不確かさ)の8桁目に
 不確かさがあり、精度を1桁あげる必要がある)


静止エネルギーと質量の関係式 E=mc2 より、
振動数 ν の光子のエネルギー (E = hν) と
等しい静止エネルギーを持つ物体の質量を1キログラムと定義。


ワット天秤により定義する。


超伝導コイル磁場内の超伝導体の浮揚により、
キログラムと電気量の関連から、コイルに流れる電流により定義する。


ジョセフソン定数 (KJ≡4.835 978 70(11)×1014 Hz/V) と
フォン・クリッツィング定数 (RK≡2.581 280 744 34(84)×104Ω) を
用いて定義する。


さて、どんな定義が採用されることになるのか、
値としては、現在のメートル原器と変わらないものに
なるはずですが、それを今後検証するのにあたって、
メートル原器をもちいなくても再現できるようになるということです。


ものを 計る、測る、量る ためには、
基準を定義して、そこからの相対差において表現するしかない
わけです。つまり、はかれるということは、
基準があり、それとの差を認識できるということでしかないとも
いえるということですね。
基準をどこにおくのかということが、非常に重要な意味を
もつということがわかります。
これは、この世界において、あらゆることに
いえることでしょう。

価値観や思想、感情や存在も、基準があってこそ
認識できるものであるということです。
では、その基準をどこに求めるのか、
それによって、様々なことが大きく変化してしまうと
いうことになるでしょう。


そういえば、この世界の基準として、光速を不変と定義して、
光速よりも速く移動するものはないという原則をベースに
展開していたのが、相対性理論ですが、
先ごろ、ニュートリノが光速よりも速く移動したとの
実験結果が公表されて話題になっていました。
しかし、この結果の真偽がどうであれ、
ある一定の原則条件下における相対性理論の正しさが
覆るわけではありません。
新しい条件下における理論が展開されることになる
ことでしょう。
常温核融合に関する理論的アプローチなどを含め
新世代の物理学への道筋のひとつといえるように感じます。

posted by 禁酒・禁煙・ベジタリアンのITコーディネータ 松原広幸 at 04:04| 静岡 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 科学・文明・学術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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