2014年08月08日

スタジオジブリの行方が与える影響

スタジオジブリの行方が与える影響

米林宏昌監督の新作「思い出のマーニー」が公開中です。
http://marnie.jp/index.html

そんな中で、少しネットを賑やかにした話題が流れました。
8月3日に放送された番組のなかで、6月のジブリの株主総会の模様が流れ、
鈴木氏が、長編制作の小休止と製作部門の解体について語ったというものです。

「ジブリ、「小休止」へ 製作部門解体 「マーニー」以後は新作お預け?」
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/140804/ent14080420580006-n1.htm

「ジブリ、長編制作は小休止 鈴木敏夫さん「解体」説否定」
http://www.asahi.com/articles/ASG873GD6G87UCLV003.html

スタジオジブリが、大きな変化の時を迎えていることは間違いなさそうです。
コンテンツビジネスに関心のあるものとしては、
スタジオジブリの存在は無視できないものであると言えます。
アニメ業界においても、特出した存在であることは間違いなく、
世界におけるブランドとしても、その知名度は高く、評価されているからです。
また、約2年に劇場長編を1作のペースで製作して、
原則、劇場公開でリクープしていくというサイクルを確立していることも
注目される点であったりします。

もう、ジブリはなくなるのか、どこかに吸収されるのか、とか、
いろんな憶測が流れましたが、まあ、結論的には、
当面、長編作品の製作については行わないで、
製作及び制作の在り方を変えていき、新たな体制で再スタートする
ということのようです。

スタジオジブリは、もともと、
高畑勲、宮崎駿両監督のアニメーション映画制作を目的として、
風の谷のナウシカの後、
徳間書店の援助で、1985年6月に吉祥寺にて活動を開始したスタジオで、
ジブリとしての最初の作品は、1986年8月公開の
「天空の城ラピュタ」ということになっています。

1988年4月に、「となりのトトロ」、「火垂るの墓」の2本立て公開があり、
高畑&宮崎監督の作品を送り出すスタジオとして、
ヒット作を連発していくようになるわけです。

1989年7月「魔女の宅急便」宮崎駿監督
1991年7月「おもひでぽろぽろ」高畑勲監督

この頃に、新社屋の問題もあり、鈴木氏が社長に就任

1992年7月「紅の豚」宮崎駿監督

1992年8月に、小金井市梶野町の新社屋に移転します。
新社屋は、宮崎監督の理想が大きく反映されたものとなっています。
アニメーターが創作する場として、また創作活動をする環境として
より良いものを目指した結果が表現されたと言えるでしょう。

1993年5月 TV「海がきこえる」望月智充監督
1994年7月「平成狸合戦ぽんぽこ」高畑勲監督

1995年7月「耳をすませば」近藤喜文監督
 ジブリの次世代を担う期待の監督の作品が公開され、
 ジブリの将来のあり方の模索が始まったといえるかもしれません。

1997年6月 株式会社徳間書店の経営悪化にともない、合併して、事業部となります。

1997年7月「もののけ姫」宮崎駿監督

もののけ姫のヒットのあと、
ウォルト・ディズニー・カンパニーが製作に入ってくることになります。
1998年1月に近藤喜文監督が急逝してしまいます。
ジブリにとっては大きな損失であったことは間違いなく、
制作のあり方についても、様々なアプローチが行われていくことになるわけです。

1999年7月「ホーホケキョ となりの山田くん」高畑勲監督
2000年4月 TV「ギブリーズ」 百瀬義行監督

2001年7月「千と千尋の神隠し」宮崎駿監督
日本映画史に残る作品となりました。興行収入300億を超えた作品は、
この作品のみです。
アカデミー賞の長編アニメーション賞を受賞するなど、世界的にも高い評価を得て
ジブリの世界ブランドが確立したといっても良いのではないか言えるでしょう。

2001年 三鷹の森ジブリ美術館開館 土星座公開用短編作品制作される。

2002年7月「猫の恩返し」森田宏幸監督
同時上映「ギブリーズ episode2」百瀬義行監督
初めての外部からの監督作品となりました。

2004年 徳間書店スタジオジブリ事業本部を有限会社スタジオジブリに分割し、徳間書店が映画制作から撤退します。

2004年11月「ハウルの動く城」宮崎駿監督

2005年4月 株式会社スタジオジブリとして、新たなスタートをきります。
 独立スタジオとして、後継者育成という課題に本腰を入れて取り組んだのが
 次の作品となったと言えるでしょう。
 このころに、高畑監督の新作の企画も動き出しているはずです。

2006年7月「ゲド戦記」 宮崎吾朗監督

2008年2月 鈴木敏夫代表取締役社長退任、後任に星野康二(元ウォルト・ディズニー・ジャパン会長)就任。

2008年7月「崖の上のポニョ」宮崎駿監督

2009年4月 トヨタ自動車本社内に新スタジオ「西ジブリ」開設。

2010年7月「借りぐらしのアリエッティ」 米林宏昌監督

2010年8月 西ジブリ閉鎖。

2010年 土星座短編「ちゅうずもう」山下明彦監督 短編8作品になる。

2011年 株式会社ドワンゴ会長、川上氏がジブリにて見習いプロデューサー。

2011年7月「コクリコ坂から」宮崎吾朗監督

2011年 土星座短編9作品になる。

2013年 研修生募集を停止(新たなアニメーター雇用を止める)。

2013年7月「風立ちぬ」宮崎駿監督
2013年9月 宮崎駿監督 長編作品制作からの引退を表明。
2013年11月「かぐや姫の物語」高畑勲監督

2014年6月 株主総会で製作部門の解体・長編製作小休止の方針が出される。

2014年7月「思い出のマーニー」米林宏昌監督

宮崎吾朗監督の新作は、ドワンゴの川上量生氏によるNHKのテレビアニメ
「山賊の娘ローニャ」となりました。
アニメーション制作は、ポリゴン・ピクチュアズ。
製作は、NHKとドワンゴです。
シリーズ構成を、川崎ヒロユキ氏が担当しています。
つまり、本来であるなら、宮崎監督の新作が、2015年公開の劇場長編作品と
なるのがこれまでのジブリの流れであったわけですから、
それを変えることになったわけです。当然2年前には決まっていたことでしょうから、
今回の長編アニメ制作の小休止の流れは、2012年には決まっていたということですね。
すなわち、宮崎、高畑の2大巨匠の作品の同時公開以後は、
異なるジブリとなる必要があるということが、鈴木プロデューサーの中にはあったということです。
これまでのジブリの劇場作品の公開においては、
製作の座組みは、固定的であり、製作費も潤沢に集めることが出来る状態で、
劇場公開に臨み、興行成績もよく、ほぼ、劇場興行でリクープする流れであったわけです。
制作スタジオとしての経営は、順調であり、製作会社としてのリスクについては、
他の製作参加企業と分け合っていたわけであり、非常にうまく廻っていたといえるでしょう。
300名の従業員を抱えて、長編の制作の忙しくない時期には、
他の作品の作画を受注して、仕事を維持していたわけです。
しばらく、長編作品の制作をしないとなると、300名の従業員の維持の為に、
他の作品の作画を積極的に受注していくことになるのでしょう。
2年前から、そこは考えていたはずですから、当然、アニメーターの皆さんは、
他の作品の作画参加が割り振られていることと思います。
ただし、これまでの2年に1本の周期を崩すということになると、
製作のあり方も、制作体制の維持の仕方も、変えていくことが必要となるでしょう。
どの様な方向性にもっていくのか、非常に注目されるところです。

ジブリというブランドは、今や日本を代表するブランドのひとつになってしまいました。
鈴木氏としても、高畑&宮崎監督の作品をつくらないから解散ということは
出来ないだろうという認識を持っておられるのではないかなとも思います。
もちろん、300名の従業員に対する責任もありますから。
また、保育園を備えるなど、アニメーターの創作活動の仕事場として、
非常に良い環境をつくりあげてきたものが、失われることも大きな損失です。
アニメーターの労働環境については、負の話題が多く流れていますが、
理想的な環境モデルとしてのジブリという側面もないわけではないからです。
女性の活躍の増加は、アニメ業界の労働環境と無関係とは言えない側面も
実際のところはあると言えるでしょう。
どの様な形で、次の長編作品の製作発表が行われるのか、
それは、何時になるのか、今後のジブリの動向には注目といったところです。
米林監督の次回作の企画がもっとも注目されるといった感じですね。
ちなみに、宮崎監督が短編を創るのは、想定された流れです。
というのも、ジブリ美術館の土星座での上映作品については、
以前より12本用意して月替わりにしたいという話があったからです。
現在9本の作品がありますから、あと3本は創ることになるでしょう。
実験的な要素もある作品もあり、子供たちが楽しめる作品ですから、
アニメの原点にかえって、宮崎監督の魅力が込められたものが出来てくるのではないかと期待しています。

ちなみに、資本関係での経営統合があるとしたら、
やはり、これまでの関係からいっても、
ディズニーか、カドカワ・ドワンゴということになるでしょうね。
日テレという可能性もないわけではありませんが、薄いかな。

ジブリ作品については、
天空の城ラピュタや、となりのトトロ、魔女の宅急便、千と千尋の神隠し
といったファミリーで楽しめ、冒険的な要素ももった作品を
また、創り出して欲しいなという希望があったりします。
特に、男の子の活躍する作品は難しいと言われていますが、
天空の城ラピュタの様な作品、やはり出てきて欲しいですね。
その様な作品を生み出せるスタジオとして、やはり最右翼なのがジブリであると思いますから。

ジブリの次回作、期待したい皆さん、
ぜひとも、現在公開中の作品「思い出のマーニー」を観に
劇場に足を運んで下さい。
とても、素敵な作品です。
posted by 禁酒・禁煙・ベジタリアンのITコーディネータ 松原広幸 at 22:02| 静岡 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ・マンガ・小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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